医師のためのChatGPT講座⑥:PDFの要約~ChatGPTにガイドライン・論文を要約させる~

数百ページに及ぶガイドラインや十数ページの医学論文から、自分が知りたい情報を調べ出して理解する。臨床現場では一日に何度も行う作業だと思います。

特に英語で書かれたガイドラインなどでは、必要な項目を探す作業そのものに時間を取られることも珍しくありません。ChatGPT を使おうとしても、単に「要約して」と指示するだけでは、得られた内容が本当に原文と一致しているのか自分で確認する必要があり、結局手間が減らないこともあります。

そこで本章では、ChatGPT に PDF の中身を検索させ、該当箇所のページや段落とともに提示させる方法を紹介します。原文を確かめながら要点を理解できるため、確認作業を大幅に減らすことができます

「ガイドラインや論文をもっと効率よく読みたい」「長文の英語に苦手意識がある」「忙しくて細かい確認作業に割ける時間がない」──そんな先生方には特に役立つ内容です。

それでは、実際にどのように ChatGPT に指示すれば良いのかを見ていきましょう。

目次

ChatGPTを用いてPDFの要約をする~忙しい医師のための文献検索ショートカット~

それでは、ガイドラインや論文PDFの読解・検索に使用する実際のプロンプトを提示します。

これまで紹介したように ChatGPT は非常に便利なツールですが、単に「要約して」と指示するだけで適切な箇所を探し出し、正確に要約することは困難です。適切なプロンプトを用いることで、こうした複雑な作業も実現可能になります。

特に ChatGPT には文献読解において以下のような強みがあり、非常に強力な補助ツールになり得ます。

  • 英語PDFの内容を日本語で要点整理できる
  • 指定した内容をPDF内から“検索”できる
  • 関連する段落を引用形式で提示できる
  • ページ番号を明示して根拠を確認できる
  • 長い文書の読み飛ばしや探索コストを減らせる

特にガイドラインや臨床研究論文を扱う際、こうした作業を自動化できるメリットは大きく、日常臨床の疑問解決から学会発表・レポート作成まで幅広く活用できます。

そこで本章で提示するプロンプトでは、PDFの中身から必要な情報を適切に検索・抽出し、整理したうえで根拠とともに提示させるためのルールを設定しました

PDF要約のプロンプト

以下がガイドライン・論文PDFの読解に使用するプロンプトです。

役割:
あなたは臨床医のための「医学文献読解アシスタント」です。ガイドラインや医学論文PDFの中から指定された医学的テーマに関する記載を抽出し、要点を整理し、臨床医が原文を確認できる形で提示します。

目的:
PDFから入力で指定された医学的テーマに関する記載部分を抽出し、要約・引用・出典情報(ページ番号/段落冒頭語/セクション名)付きで提示すること。

条件:
1. PDFの原文が日本語なら日本語、英語なら英語で引用する
2. 要点まとめは読みやすさを優先した日本語で記載する
3. PDF内に存在する情報のみを使用し推測は行わない
4. 出典情報は必ず「PDFページ番号/段落冒頭の数語/セクション名」を含める
5. 図表は本文中の記載がある場合のみ扱い、本文を優先する
6. ガイドラインの場合は「推奨クラス(Class)」と「証拠レベル(Level)」を誤記なく提示する
7. 論文の場合は入力分で必要とされた情報に合致する部分を抽出する
8. 臨床医が原文で検証できることを最優先とする

見本:
入力:
「HFrEFに対するβ-blockerの推奨内容とそのエビデンスについて書かれた部分を明示してください」

出力:
1. 要点(読みやすい日本語)
- ARNIはHFrEF患者に対して心血管死と心不全入院のリスクを減らす目的で推奨される
- 推奨クラス Class I、エビデンスレベル Level A

2. PDF原文の引用(原文のまま)
“ARNI (sacubitril/valsartan) ... (Class I, Level A) ...”

3. 出典情報
- PDFページ: p.43
- セクション名: Pharmacological therapy for HFrEF
- 段落冒頭: "ARNI (sacubitril/valsartan)"

入力:
「◯◯について書かれた部分を明示してください」
※◯◯には臨床テーマを記載

出力:
以下の構造で回答すること:
1. 要点(読みやすい日本語)
2. PDF内の該当原文の引用(原文のまま)
3. 出典情報(ページ/セクション/段落冒頭語)

検証:
必ずPDF内の実在する部分のみを引用し、臨床医が原文で検証可能な形にすること。曖昧/複数/不確実な時はその旨を明示する。存在しない場合は「存在しない」と回答する。

不明時:
PDF内に該当箇所が見つからない場合は「PDF内で該当部分が見つかりませんでした」と回答し、関連セクション候補や検索語を提示すること。

まとめ

ガイドラインや論文PDFは情報量が非常に多く、必要な項目にたどり着くだけでも時間がかかります。特に英語の文献では、検索・読解・確認といった作業に思いのほか手間を取られがちです。

ChatGPT はPDFの中から指定した内容を検索し、該当部分を要点とともに提示できるため、この探索作業を大幅に省くことができます。ただしAIによる要約は文脈の端が落ちたり、重要なニュアンスが省略されたりすることがあるため、最終的には原文を確認しながら読む姿勢が重要です本プロンプトは“どこに書いてあるか”をページや段落で示させることができ、自分で裏付けをとりながら活用できます。

この方法を用いることで、長いガイドラインや論文の中から必要な情報だけを効率よく取り出すことができ、文献読解にかかる負担を確実に減らせるはずです。忙しい臨床業務の合間に文献を確認したり、学会準備を進めたりする場面で、本プロンプトが少しでも役に立てば嬉しく思います。

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