医師のためのChatGPT講座②:Chat GPTの使い方~ダウンロードからプロンプトエンジニアリングまで~

「ChatGPTはなんでも答えを出してくれるから、質問は適当でもいい」と思っていませんか?
実は、本当に欲しい答えを得るためには、ChatGPTに“的確な指示”を出すことが何より大切です。これを「プロンプト」と呼びます。本章では、ChatGPTの導入から、正しい質問の仕方=プロンプトエンジニアリングの基礎までを解説します。この章を読み終えるころには、あなたもChatGPTを自分の思うように動かすことができるようになるでしょう。それでは一緒に学んでいきましょう。

目次

2-1: ChatGPTの始め方~ダウンロードからChat開始まで~

ChatGPT 開始までの準備

ChatGPTはOpenAI社の公式サイトまたはパソコン・スマートフォンアプリをダウンロードすることで簡単に始められます。初めての方は、メールアドレスやGoogle/Appleアカウントで登録します。登録後、ログインすればすぐにチャット画面が開き、早速使い始めることが出来ます。

まずは無料版から、物足りなくなればPlus版に

ChatGPTには3つのプランがあります。

私自身はChatGPTのPlus版を使用しています。元々は無料版を使っていたのですが、使用の際には長文の生成を依頼することも多く、文章の生成がやや遅いように感じ、Plus版に変更しました。これから始める方は無料版でも十分使い慣れてきて不便に感じるようになったら、Plus版に変更するのが良いと思います。Pro版は日常的に使用する程度であればややover specな印象です。

ChatGPT ブラウザ版とアプリ版の比較

スクロールできます
ブラウザ版アプリ版
インストール不要
起動ブラウザから使用アプリを起動
操作感
音声入力基本的には非対応/限定的
同期ログインしていれば可
プラグイン一部連携出来ない
使用場面長文の資料作成
複数のブラウザで作業
通勤中・隙間時間の使用
会話モード

このように、ブラウザ版は資料作成や文献検索など複数タブを併用する長文作業に適しています。一方、アプリ版は音声入力/音声応答(Voice Mode)を使える点が最大の強みで、また手軽に仕事の隙間時間などに利用できることは大きなアドバンテージです。私はどちらも利用しますが、どちらも不便と感じることはなく、状況に応じて使い分けるのが良いと思います。

ChatGPTを始める前に最初にしておくべき設定

ダウンロード、アカウント設定が出来たらさっそくChatGPTを使うことが出来ます。医師がChatGPTを使用する際にすべての人のためにモデルを改善するをオフに設定し、ChatGPTをパーソナライズしておくことをおすすめします。

すべての人のためにモデルを改善する設定データコントロールから設定出来ます。これはChatGPTが入力したものを今後のモデルの改善に利用することが出来るようにする設定です。基本的には個人情報は入力しないことが原則ですが、誤って入力してしまうケースもあり、その際に個人情報が二次利用されてしまう可能性があるため、安全性の観点からこちらはオフにしておくことをおすすめします。

ChatGPTをパーソナライズする設定に関してですがこちらは設定パーソナライズから設定できます。これはChatGPTを使用する際にパーソナライズされた情報に基づいて出力してくれる設定です。

このように設定をしておくことでこちらが医師であり、信用できる情報を元に出力してほしいということがChatGPTに伝わります。もちろん設定していても情報が不確かなこともありますが、ChatGPTをパーソナライズしておくことでこちらが求める情報を得やすくなります。上記はあくまで一例なのでご自身で使用しやすいように設定して下さい。

2-2: 医師のためのプロンプトエンジニアリング入門

ChatGPTを最大限活用するにはプロンプトが全て

プロンプトとは、ChatGPTに対する「言葉による指示」です。

プロンプトが的確で具体的であればあるほど、ChatGPTは正確で役立つ出力を返します指示が曖昧だと、全く役立たない期待と違う答えが返ってきます

プロンプトの質を高め、ChatGPTの潜在能力を最大限に高める技術のことをプロンプトエンジニアリング と呼びます。ChatGPTを使いこなすための鍵はどのように指示を出すかにかかっているのです。では、さっそくプロンプトエンジニアリングについて一緒に学んでいきましょう。

プロンプトエンジニアリングの基本~明確な指示と具体的な情報~

プロンプトエンジニアリングの基本たった2つ「明確な指示」「具体的な情報」です。

まず大切なのは「明確な指示を与えること」、つまりは何をしてほしいのかをはっきり伝えることですChatGPTは曖昧な指示よりも、明確な指示に答えることの方が得意です。対象(何を)指示(どうしてほしいか)を明確にした指示を出すことが重要です。例えば小児の上気道炎の診療をする際に「上気道炎について教えてください」だけでは不十分で、「小児の上気道炎について、基本情報(疫学)と治療方針(必要な検査と処方などの治療)について診療にあたる内科医に向けて詳しく説明してください。」と伝えることで、初めて目的に合った情報が返ってきます。

もう一つの重要な要素として条件や制約など「具体的な追加情報」を与えることです。以下に具体的な方法を説明します。

①副詞で修飾する

一般的な言語でもそうですが、指示を詳しく説明する際には動詞を副詞で修飾することが有効です。「患者さん向けに分かりやすく説明する」「専門家に向けて詳しく説明する」「簡潔に説明する」などのようにすることでChatGPTは回答の方向性を理解することが出来ます。

②役割を与える

ChatGPTは役割を与えることでその役割になりきって回答してくれます。意外に思われるかもしれませんがこれが回答精度を飛躍的に向上させます。例えば「あなたは循環器内科の専門医師です。」「あなたは統計学の専門家です。」などと役割を与えてから指示を出します。

③背景となる周辺情報を教える

ChatGPTは出力を生成する際に背景の情報が詳しくあるほど、より良い結果を出力します。例えば「ハワイへの旅行のプランを考えてください。」ではあまりよい出力は得られません。「私は奥さんと新婚旅行で7日間ハワイに行く予定です。ハワイでは海や山などの自然を満喫し、ショッピングも行きたいと考えています。ハワイへの旅行のプランを考えてください。」のようにプロンプトを書く方がより具体的で有用な出力を与えてくれます。

④制約条件を与える

制約条件とはChatGPTが回答する際に従うルールや条件のことです。制約条件を与えることでChatGPTはよりこちらの意図に沿った回答をしてくれるようになります。特に文字数の指定表現形式の指定言語の指定などは日常臨床においても非常に使う場面が多いです。具体的には「500字程度で出力して下さい。」「専門用語を使わずに」「英語で」などとプロンプトを書きます。

⑤見本を提示する

元々出力してほしい結果が明確にあるような場合には、ChatGPTに見本を提示することで出力してほしい結果を得ることが出来ます以前に作成した紹介状や学会の抄録があるような場合に「今から心不全の患者様の紹介状を作成して下さい。”以前に作成した見本を入力”に忠実な形での出力をよろしくお願いします。」などのように使うことで以前に作成した紹介状と同じような形式の紹介状を作成することが出来ます。このように見本を一つ提示することを「ワンショットプロンプト」といい、複数の見本を提示することを「フューショットプロンプト」と言います。複数の見本を提示することでより見本に忠実な形での出力が得られることが知られています。これも非常に便利なプロンプトです。

⑥記号を使う

ChatGPTへの指示を分かりやすくするために記号を使うことも有効です。例えば具体例の引用には「” “」を使用し、並列の関係には「役割:医師」というように「:」を使用します。階層構造を示すために「#」を使用することで「##」はその一つ小さな見出しであることを示すことが出来ます。その他「-」「1.2.3.」などで見出しを表現します。

より詳しく知りたい方はhatGPTやプロンプトエンジニアリングについて解説した本を読んでもらうのがよいと思いますが、基本的はこれまで説明した知識で十分にプロンプトエンジニアリングを行うことが可能です。

次の章ではChatGPTを使用する際のコツや便利な機能を説明します。

2-3: ChatGPTの使い方のコツと便利な機能

2-2章でプロンプトエンジニアリングの基本については理解いただいたと思います。では実際にChatGPTをどのように使えばよいのでしょうか?ここからは、すぐに実践できるコツと、作業効率を一気に高める便利な機能について紹介していきます。

ChatGPTの使い方のコツ

1作業・1プロンプトを意識する

ChatGPTは非常に便利なので万能のように感じることもあるかもしれませんが、複数の作業を同時に行うことは苦手です。例えば学会の抄録を作成する際に「今から送る患者の経過を分かりやすくまとめて、それを英語に翻訳して、300語程度にまとめて下さい。」などと指示を出すとそれなりの答えを出してきますが、質は低くなってしまいます。

「1作業・1プロンプト」を心がけることでより良い出力を得ることが出来ます。先ほどの例では、「今から送る患者の経過を分かりやすくまとめて下さい。」とプロンプトを書き、その出力に対して、「ではそれを英語に翻訳して下さい。」とさらに指示を出し、そして最後に「ではその出力を300語程度にまとめて下さい。」と順を追って出力させる方がよりより出力を得ることが出来ます。ChatGPTと会話をしながら進めていくことを心がけてください

構造化してプロンプトを作成する

ChatGPTは構造化してプロンプトを作成することで指示を理解し、よりより出力を出来るようになります。先ほど説明した「#」や「-」の記号を使用して作成していきます。具体的には以下のようにプロンプトを作成します。

# 指示
以下の症例の「考察」を作成してください。

# 症例要約
- 80歳男性
- 急性非代償性心不全で入院
- EF 30%、重度僧帽弁閉鎖不全
- 入院後、利尿剤とACE阻害薬で改善
- 退院時EF 45%まで改善

# 目的
症例報告として、読者(循環器内科医)が理解しやすい内容にする。

# 条件
- 1000字程度の日本語で作成する。
- ① 背景 ② 先行研究 ③ 本症例の新規性 ④ 臨床的意義 の構成に従う。
- ガイドラインや有名な論文を文献として引用しながら記載する。
- 専門的な内容だが、冗長にならず簡潔にまとめる。

# 出力形式
①背景:
②先行研究:
③本症例の新規性:
④臨床的意義:

このように構造化して指示を出すとより複雑な指示でも適切な出力を出来るようになります。

プロンプトをChatGPTに考えさせる

どのようにプロンプトを書いたらよいか分からない時プロンプトを書くのがめんどうな時ChatGPTにプロンプトを考えてもらう方法があります。ChatGPTはChatGPTのことを誰よりもよく理解しているので、自分が動きやすいプロンプトを作成することが出来ます。具体的には「質の高い紹介状を作成させるプロンプトを作成して下さい。」「AI検索エンジンを使用し、最新の文献を検索するプロンプトを作成して下さい。」のように使います。

ChatGPTの便利機能

①GPTs

GPTsとは、OpenAIが提供している「特定の用途に最適化するための、自分専用バージョンを作成できる機能」です。プログラミングの知識は不要で、指示やルールを登録するだけで“ある用途に特化した自分だけのChatGPT”を簡単に作ることができます

たとえば、「症例報告を作成する専用のChatGPT」「学会スライドを作成するためのChatGPT」「紹介状を作るためのChatGPT」などをあらかじめ作成しておくと、毎回同じプロンプトを入力しなくても、そのGPTsに入力するだけで作業が自動的に進むようになります。

同じプロンプトを何度も入力する手間がなくなり、症例報告作成、紹介状作成、学会準備など何度も同じ場面で使用する際には非常に便利です

GPTsは以下のようにGPTのウィンドウから作成することが出来ます。

作成ボタンを押すと以下のような画面が表示され、簡単な指示を日本語で入力するだけで自分だけのGPTsを作成することが出来ます。また他の人が作成したGPTsも利用することが出来ます。

②ファイル形式での送信

ChatGPTはPDF/Word/Excelなどのファイルをそのまま扱うことが出来ます。日常臨床においては論文をPDF形式で送信し、翻訳したり、内容を要約する際に便利です。

③音声会話機能

ChatGPTアプリでは音声による対話ができます。アプリ画面のマイクボタンをタップして話しかけると、ChatGPTが音声を自動で認識して理解し、音声またはテキストで返答してくれます。この機能を活用すれば 英会話練習の相手としてChatGPTと会話することもできます。たとえば「循環器学会の発表に備えて英語で質疑応答を練習したい」と伝えれば、ChatGPTが質問したり改善点をフィードバックしたりしてくれます。

以上のようにChatGPTには便利な機能がたくさんあります。次章からは具体的なプロンプト例を示しながらCharGPTの使い方を解説していきます。

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